セラミック治療のメリットとデメリット|保険治療との違いも歯科医が解説

セラミック治療とは?

セラミック治療とは、虫歯治療や歯の被せ物・詰め物に「セラミック(陶材)」を使用する方法です。セラミックは白く透明感のある素材で、見た目が天然歯に近く、審美性が高いことで知られています。一般的に保険診療では銀歯(合金)が用いられることが多いのに対し、セラミック治療は自費診療で行われるのが基本です。

近年は「銀歯を白い歯に変えたい」という審美的な理由や、「金属アレルギーを避けたい」といった健康面での理由から、セラミック治療を希望される方が増えています。しかし、その一方で費用面や素材の性質上の注意点もあり、すべての人にとってベストとは限りません。本記事では、セラミック治療のメリットとデメリットを整理し、保険治療との違いについても詳しく解説します。

セラミック治療のメリット

見た目が自然で美しい

セラミックの最大のメリットは、天然歯のような自然な色合いと透明感です。銀歯やプラスチック(レジン)の詰め物と違い、口を開けたときに治療跡が目立ちにくいため、笑顔に自信を持つことができます。特に前歯など、人目につきやすい部位では大きなメリットとなります。

変色しにくい

レジン(歯科用プラスチック)は時間の経過とともに黄ばみや変色が目立つことがありますが、セラミックはコーヒーや紅茶、カレーなど色の濃い飲食物による着色が起こりにくい素材です。長期的に美しさを保ちたい方に適しています。

金属アレルギーの心配がない

銀歯に使用される合金には、ニッケルやパラジウムなど金属アレルギーの原因となる成分が含まれることがあります。セラミックは金属を使用しないため、金属アレルギーの心配がありません。体に優しい素材として注目されています。

歯ぐきの変色が起こりにくい

銀歯の場合、長期間装着していると歯ぐきが黒っぽく変色することがあります。これは金属イオンが歯肉に沈着することが原因です。一方、セラミックは金属を含まないため歯ぐきの変色リスクがなく、自然で清潔感のある口元を保てます。

虫歯の再発リスクが少ない

セラミックは歯に精密に適合しやすく、銀歯やレジンに比べて隙間ができにくいとされています。そのため、治療した部分から再び虫歯が発生する「二次カリエス」のリスクを減らせる可能性があります。

セラミック治療のデメリット

費用が高い

セラミック治療は保険が適用されない自費診療であるため、費用は1本あたり数万円〜十数万円と高額です。特に奥歯のクラウン(被せ物)の場合、10万円前後かかることも珍しくありません。長期的なメリットは大きいですが、初期費用が高い点はデメリットです。

割れる可能性がある

セラミックは硬く強度が高い素材ですが、一方で「衝撃に弱い」という性質があります。強い力が一点に加わると、割れたり欠けたりすることがあります。特に歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は注意が必要です。ナイトガード(マウスピース)を併用することでリスクを軽減できます。

歯を削る量が多い場合がある

セラミックの被せ物や詰め物は、銀歯よりも厚みが必要なため、歯を削る量がやや多くなるケースがあります。もちろん歯科医は可能な限り歯を残すよう配慮しますが、「天然の歯をできるだけ残したい」という方にとってはデメリットと感じる場合もあります。

治療に時間がかかることがある

セラミックは歯科技工士が精密に作製する必要があるため、型取りから装着まで数回の通院が必要です。最近では即日治療が可能なセラミックシステム(CAD/CAM)が普及していますが、それでも医院によっては数週間かかることもあります。

保険治療との違い

銀歯(保険治療)の特徴

保険診療で使われる銀歯は、費用が安く耐久性も高いため、広く利用されています。ただし、見た目が目立つ・金属アレルギーのリスクがある・歯ぐきが変色しやすいといった欠点があります。

レジン(保険内の白い素材)の特徴

小さな虫歯にはレジン(コンポジットレジン)を使用することもあります。白いため見た目は良いですが、時間の経過で変色や摩耗が起こりやすいのが難点です。

セラミックとの比較

  • ・見た目:セラミック > レジン > 銀歯
  • ・耐久性:セラミック ≧ 銀歯 > レジン
  • ・費用:銀歯(保険内) < レジン(保険内) < セラミック(自費)
  • ・体への安全性:セラミックが最も安心

まとめ

セラミック治療には「自然で美しい見た目」「変色しにくい」「金属アレルギーの心配がない」といった多くのメリットがあります。一方で「費用が高い」「割れる可能性がある」「歯を削る量が多い場合がある」といったデメリットも存在します。

保険治療との違いを理解した上で、どの治療法が自分に合っているのかを歯科医と相談しながら決めることが大切です。見た目や健康への影響、費用面など総合的に考慮し、納得できる治療を選択しましょう。