インプラント治療で歯茎が下がる原因とは?治療や予防方法を解説

インプラントの問診

歯科インプラント治療は、失った歯の再建にとって重要な治療方法です。しかし、一部の患者様は治療後に歯茎が下がる経験をする場合があります。歯茎が下がる(退縮する)原因は、インプラント周囲炎や日頃の生活によって起こる歯茎の炎症です。

この記事では、インプラント治療後に歯茎が下がる原因や治療方法、歯茎のトラブルを予防する方法などを詳しく解説します。

インプラント治療後に歯茎が下がる原因

インプラントに切り替えた後に歯茎が退縮する原因は、主に3つ考えられます。

インプラント周囲炎

インプラント治療後に起こる歯茎の退縮の主な原因は、インプラント周囲炎です。

インプラント周囲炎とは、インプラントと歯肉の境目に細菌が侵入し、歯周病のように炎症を起こした状態を指します。インプラントは自然の歯よりも抵抗力が低く感染しやすいため、炎症が骨まで達し、歯茎が下がる恐れがあります。さらに、インプラント周囲炎は歯周病と同様に、痛みをはじめとした初期症状が現れないため、日頃の定期検診が大切です。

ブラッシングなどのセルフケア

必要以上に強い力で歯をブラッシングすると、口腔内が傷つき、細菌が入り込む可能性があります。その他にも、歯磨きを怠る、普段の歯磨きで歯周ポケット内の汚れを除去できていないなど、日頃のセルフケアによって歯茎が下がる場合もあります。

歯ぎしりや食いしばり、喫煙などの生活習慣

歯ぎしりや食いしばりは、インプラント治療を受けていない方の中にもお悩みの方が多い症状ですが、インプラント治療を受けた方は特に注意が必要です。歯ぎしりや食いしばりが癖になっていると、特定の歯やインプラント、歯茎に強い負荷がかかり、そのダメージで歯茎が炎症を起こす危険があります。

また、喫煙も歯茎が下がる原因になるため、インプラント治療後は禁煙することをおすすめします。タバコを吸うと血流が低下して白血球やヘモグロビンの働きが阻害され、口腔内の抵抗力が低下して炎症を起こす可能性が上がります。

インプラント周囲炎の治療方法

歯茎が下がる主な原因は、インプラント周囲炎です。インプラント周囲炎の治療方法には以下の選択肢があります。

クリーニング

軽度のインプラント周囲炎の場合は、歯科医がクリーニングでインプラント周辺の歯石や歯垢を除去することで症状を改善できます。インプラント周辺を清潔にして感染の進行を防ぎ、歯茎の健康を維持します。

さらに症状が進行している場合は、抗生物質を歯周ポケットに注入し、内服薬を服用する必要があります。

歯肉切開手術

重度のインプラント周囲炎になると、歯茎の下がりを改善するために歯肉切開手術が必要になる可能性があります。歯肉切開手術では、歯茎を切開し、感染部分を取り除きます。その後、歯茎を再び縫合することで、歯茎の退縮を防ぎます。

骨再生手術

重度のインプラント周囲炎の場合、インプラントを支えている歯槽骨という骨が溶けて吸収されてしまう症状も現れます。骨が吸収されると、それに合わせて歯茎も下がりやすくなります。

骨再生手術は、不足している骨を補うために行われ、インプラントの安定性と歯茎の健康を改善します。万が一再生手術が行えないほど悪化している場合は、インプラントそのものを諦めて撤去するのが一般的です。

インプラント治療による歯茎のトラブルを防ぐには

インプラント治療後に歯茎のトラブルが起こらないようにするためには、以下の予防方法を実践しましょう。

正しいセルフケア

歯茎が下がらないようにするためには、日頃から適切なセルフケアを実践することが非常に重要です。歯科医師の指導に従い、適度な力加減でブラッシングを行いましょう。毛先が細い歯ブラシを使用すると、歯周ポケット内の汚れを落としやすいため、インプラント治療後の方におすすめです。

歯ブラシで取り除けない汚れはデンタルフロスを活用し、歯と歯の間の清潔も維持するよう心がけてください。

健康的な生活

食事バランスが偏っていたり疲労が蓄積していたりすると、免疫力が下がって細菌感染を引き起こしやすくなります。栄養バランスの整った食事を摂り、十分に睡眠時間を確保して、健康的な生活を意識しましょう。糖尿病や貧血などの持病がある方は、感染症にかかりやすいため、特に注意が必要です。

また、喫煙は歯茎のトラブルが発生する可能性を上げるため、まずは本数を減らして禁煙するよう努めてください。どうしても喫煙をやめられない方には、禁煙外来の受診もおすすめしております。

定期的なメンテナンス

適切なセルフケアを続けても、どうしても落としきれない汚れは発生するため、定期的な歯科検診も大切です。専門の器具を用いて汚れを落とし、口腔内の清潔を取り戻します。

また、インプラント周囲炎になっていないか、インプラントのネジは緩んでいないか、噛み合わせでインプラントに負荷はかかっていないかなど、細やかなインプラントの状態も確認できるため、定期的に通院すると安心して日常生活を送ることができます。

通院頻度については、担当の歯科医師に確認しましょう。

まとめ

インプラント治療後に歯茎が下がる原因は様々ですが、適切なケアと定期的な歯科検診によって、そのリスクを抑えることができます。正しい生活習慣を心がけて、健康な歯茎と美しいインプラントを保ちましょう。

インプラント治療で不安な点や気になることがございましたら、おのせ歯科中目黒にお気軽にご相談ください。

監修医師

執筆者

おのせ歯科中目黒 院長
小野瀬 崇之

経歴

2012年 神奈川歯科大学卒業
2013年 神奈川歯科大学附属病院にて臨床研修修了
2013年 デンタルオフィス東京ベイ勤務
2013年
7月~
デンタルオフィス六本木東京院長就任
2018年 中目黒で「おのせ歯科中目黒」を開院

資格・所属学会

  • 日本顎咬合学会 認定医
  • 国際インプラント学会
  • UCLAインプラントアソシエーションジャパン
  • ノーベルバイオケア Certificate取得
  • UCLA 4Day インプラントプログラム Certificate取得
  • Terna japan ヒアルロン酸、ボツリヌス Certificate取得
  • インビザライン Certificate取得