入れ歯は天然歯と同様に、毎日のお手入れが欠かせません。適切に清掃しないと、食べかすやプラーク(歯垢)が付着し、口臭や歯周病、義歯性口内炎の原因になります。さらに、入れ歯そのものの寿命を縮めてしまう可能性もあります。以下に、毎日行うべきお手入れの基本を紹介します。
特に「寝るときも外さない方が安定するから」と思い込んでいる方もいますが、これは誤りです。夜間に入れ歯を外すことで歯ぐきが休まり、健康を保てるのです。
水洗いやブラシ清掃だけでは、目に見えない細菌やカビ(カンジダ菌)を完全に除去することはできません。そこで重要なのが入れ歯洗浄剤の使用です。毎日の使用で入れ歯を清潔に保ち、口腔内の健康も守れます。
入れ歯洗浄剤には、酵素系・酸素系・中性タイプなどがあり、それぞれ特徴があります。酵素系はたんぱく汚れに強く、酸素系は除菌・漂白効果が高いです。日常的には酸素系を使い、着色が気になる場合は漂白効果のあるタイプを選ぶなど、使い分けるとより効果的です。
また、洗浄剤で浸け置きした後は流水で十分にすすぎ、薬剤が口腔内に残らないように注意します。洗浄剤だけに頼らず、ブラシによる物理的清掃と併用することが重要です。
入れ歯は時間とともに口腔環境に変化が起こるため、定期的なチェックと調整が必要です。歯ぐきや顎の骨は年齢とともにやせて形が変わり、最初はぴったり合っていた入れ歯も次第に合わなくなってきます。
また、入れ歯の適合状態だけでなく、口腔内全体の健康チェックも欠かせません。歯ぐきや粘膜に炎症がないか、残っている歯やインプラントに問題がないか、口腔乾燥の有無なども確認する必要があります。予防歯科の観点からも、入れ歯を快適に長く使い続けるためには定期的な診察が不可欠です。
入れ歯を快適に長持ちさせるためには、毎日のお手入れ・入れ歯洗浄剤の活用・定期的な歯科医院でのチェックが三本柱となります。毎日の丁寧な清掃と正しい管理を続けることで、口腔内の健康も守られ、生活の質が向上します。
「入れ歯は作ったら終わり」ではなく、日々のお手入れと歯科医のサポートによってはじめて快適に機能します。今日から正しいお手入れを実践し、安心して食事や会話を楽しめる生活を送りましょう。