入れ歯とインプラントの違い|費用・機能性・見た目を徹底比較し選び方を解説

費用の比較

治療を検討する際に多くの方が最初に気になるのが費用です。入れ歯とインプラントでは費用の幅や負担感が大きく異なります。

保険診療で作製できる入れ歯は、部分入れ歯なら数千円〜2万円程度、総入れ歯でも1万〜3万円程度が一般的です。経済的な負担が比較的少ないため、誰でも治療を受けやすい点がメリットです。ただし、使用できる素材や設計に制限があるため、快適性や見た目には限界があります。

一方で自費診療の入れ歯は、金属床義歯やノンクラスプデンチャーなど選択肢が広がり、10万〜100万円程度と費用が大きくなります。それでもインプラントに比べると安価であり、複数本の欠損を補う場合に適しています。

インプラントは基本的に自費診療です。1本あたり30万〜50万円程度が目安で、骨造成など追加処置が必要になるとさらに費用がかかります。複数本の欠損や全顎治療では100万円を超えることも珍しくありません。高額ではありますが、天然歯に近い機能性や審美性を得られる点が特徴です。

機能性の違い

噛む力や安定性は、入れ歯とインプラントの大きな違いの一つです。入れ歯は歯ぐきや隣の歯に支えられるため、どうしても噛む力が制限されます。特に総入れ歯は天然歯の3割程度の咀嚼力しか得られないと言われ、硬い食べ物や粘着性のある食品は噛みにくい傾向があります。

部分入れ歯では残っている歯にバネをかけて固定しますが、支えの歯に負担がかかり、将来的に歯を失うリスクを高める場合もあります。さらに入れ歯は装着中にずれることがあり、食事や会話に不便を感じる方も少なくありません。

インプラントは顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上に被せ物を装着するため、天然歯に近い安定性と咀嚼力を発揮します。硬いものでもしっかり噛めるため、食事の楽しみを取り戻せるという声が多く聞かれます。また、骨に直接力が伝わることで顎の骨が刺激され、骨吸収を防ぐ効果も期待できます。

見た目の違い

見た目の自然さも治療法を選ぶうえで大きなポイントです。入れ歯は保険診療のものではレジン床や金属のバネが目立つことがあり、人と話すときや笑ったときに気になる場合があります。自費のノンクラスプデンチャーなら金属バネがなく、自然な見た目に仕上げられますが、長期的な耐久性は劣る傾向があります。

インプラントは、歯ぐきから天然歯のように歯が生えているように見えるのが特徴です。セラミックやジルコニアを用いた上部構造は色や透明感を調整できるため、隣の歯と見分けがつかないほど自然に仕上げられます。審美性を重視する方には大きなメリットといえるでしょう。

選び方のポイント

入れ歯とインプラントのどちらを選ぶかは、費用・健康状態・ライフスタイルを総合的に考えて決める必要があります。

  • ・費用を抑えたい人:保険診療の入れ歯が現実的。最低限の機能回復が可能。
  • ・見た目や快適性を重視:自費の入れ歯やインプラントが適している。
  • ・全身の健康状態に制約がある人:糖尿病や骨粗鬆症、心疾患などで外科手術が難しい場合は入れ歯の方が安全。
  • ・長期的な安定性を求める:インプラントは耐用年数が長く、骨の維持にも有効。

また、どちらの治療法でも定期的なメンテナンスが必須です。入れ歯は調整や修理が欠かせず、インプラントも歯周病(インプラント周囲炎)を防ぐためにプロの管理が必要です。治療後のケアまで含めて計画を立てることが大切です。

まとめ

入れ歯とインプラントには、それぞれ明確なメリットとデメリットがあります。費用を抑えつつ機能を回復したい場合は入れ歯、快適性や見た目、長期的な安定性を求めるならインプラントが選択肢となります。重要なのは、自分の口腔内の状態やライフスタイル、経済状況を考慮し、歯科医と相談して最適な治療法を選ぶことです。

「歯を失ったらインプラント一択」というわけではなく、「状況に応じて入れ歯も十分に有効」なのです。後悔しないためには、それぞれの違いを正しく理解し、将来を見据えた選択を行いましょう。