親知らずの抜歯費用|保険適用と自費診療の違い・大学病院でのケース・費用を抑えるポイント

保険適用になるケース

親知らずの抜歯は多くの場合、健康保険が適用されます。特に「治療が必要」と診断された場合にはほぼ例外なく保険診療です。具体的には以下のようなケースが該当します。

  • ・親知らずに虫歯ができてしまった
  • ・智歯周囲炎を繰り返している(歯ぐきが腫れて膿が出る)
  • ・手前の歯を押して歯並びや噛み合わせに悪影響を与えている
  • ・横向きや斜めに生えて清掃が困難で炎症リスクが高い

費用の目安としては、単純抜歯なら3,000〜5,000円、歯肉や骨を削る「難抜歯」では8,000〜15,000円程度(いずれも3割負担時)です。ここに初診料・X線撮影・投薬費用が加わるため、トータルでは5,000〜20,000円程度が一般的です。 例えば、初診時にレントゲンを撮影(1,000円前後)、抜歯当日に麻酔・処置(5,000円前後)、抗菌薬と鎮痛薬(1,000円前後)を処方されると、合計で約7,000円程度になります。処置の難易度によってこの金額が増減します。

自費診療になるケース

一方で、親知らずの抜歯が自費診療になるケースもあります。代表例は以下の通りです。

  • ・完全に骨の中に埋まっており、CT撮影や特殊な外科器具が必要な場合
  • ・静脈内鎮静法や全身麻酔など、快適性を高める麻酔法を希望する場合
  • ・自由診療専門クリニックで治療を受ける場合

自費診療では1本あたり2万〜10万円程度が目安です。さらに静脈内鎮静法を追加すると5万〜15万円ほど上乗せされる場合があります。例えば「恐怖心が強いので眠っている間に処置したい」という方は静脈内鎮静を選ぶケースが多く、その場合は保険の適用外となります。

また、美容や審美を目的とした特殊な処置を同時に行う場合も自費になることがあります。自由診療では快適性・安全性が優先され、最新設備を利用できる利点はありますが、費用が大幅に上がる点に注意が必要です。

大学病院を紹介される場合

親知らずが神経に近接している、埋伏の程度が強いなど、難症例では大学病院や口腔外科への紹介が行われます。特に下顎の親知らずは下歯槽神経や血管に近く、抜歯時にしびれや出血リスクがあるため、より安全性の高い施設での処置が推奨されます。

大学病院での抜歯も基本的には保険診療です。CT撮影(3割負担で約3,000〜5,000円)、外科的抜歯(1万〜2万円前後)、処方薬や術後管理費を含めても1万5千〜2万5千円程度で収まることが多いです。 ただし、予約や待ち時間が長くなることもあるため、スケジュールに余裕をもって受診することが必要です。

費用を抑えるためのポイント

親知らずの抜歯費用は、工夫次第で抑えることが可能です。以下の方法を意識するとよいでしょう。

  • ・保険適用で受けられるか確認:多くのケースで保険が使えます。自費診療を提示された場合は理由を確認しましょう。
  • ・炎症が起こる前に抜く:腫れや膿が強くなってからでは処置が複雑化し、費用も増える可能性があります。早期対応がコスト削減につながります。
  • ・大学病院や口腔外科を利用:難症例でも保険で処置できるため、費用と安全性の両立が可能です。
  • ・医療費控除を活用:年間の医療費が10万円を超えると、確定申告で一部が還付されます。親知らず抜歯も対象です。
  • ・デンタルローンを検討:高額な自費診療を希望する場合でも、分割払いを利用することで月々の負担を軽くできます。

さらに、術後の合併症(ドライソケットや感染)を防ぐことも長期的なコスト削減につながります。術後の注意事項(強いうがいを避ける、喫煙しない、規則正しい服薬)を守ることで追加治療費を避けられます。

費用シミュレーション例

実際の患者さんの例をシミュレーション形式で紹介します。

  • ・ケースA:上顎の単純抜歯(保険適用)
    初診料・レントゲン・抜歯・処方薬を含めて合計約6,000円。
  • ・ケースB:下顎の水平埋伏智歯(保険適用)
    外科的抜歯・CT撮影・縫合処置を含めて合計約15,000円。
  • ・ケースC:自由診療クリニック+静脈内鎮静
    1本抜歯10万円+静脈内鎮静10万円で合計20万円。
  • ・ケースD:大学病院で難症例抜歯(保険適用)
    CT撮影・外科的抜歯・術後管理を含めて約2万円。

このように、選択する施設や処置の難易度によって費用は大きく変わります。費用だけでなく、安全性・快適性とのバランスで選択することが重要です。

まとめ

親知らずの抜歯費用は、保険適用なら5,000〜20,000円程度、自費なら2万〜10万円以上と幅広いです。大学病院では高度な処置を受けても保険診療で対応可能なため、費用を抑えながら安全性を高められます。 費用を抑えるには、早めの抜歯・保険適用の確認・医療費控除の利用がポイントです。親知らずの状態は個人差が大きいため、歯科医とよく相談して自分に合った方法を選びましょう。