親知らずを抜歯した後は、口の中で傷口が治っていく過程にあります。抜歯後の過ごし方によっては、治りが遅れたり合併症を引き起こしたりすることがあるため、注意が必要です。まず大切なのは血餅(けっぺい)を守ることです。血餅とは抜歯後の穴にできる血の塊で、これがフタの役割をして傷を守り、治癒を進めてくれます。血餅が失われると「ドライソケット」という強い痛みを伴う状態になります。
また、抜歯当日は麻酔の影響で感覚が鈍くなっているため、頬や唇を誤って噛んでしまうことがあります。完全に感覚が戻るまでは食事や歯磨きに注意しましょう。
抜歯後は食事内容や食べ方の工夫がとても重要です。患部に負担をかけないように工夫することで、治癒を早めることができます。
食事は1〜2日目までは流動食に近いものを中心にし、徐々に通常の食事に戻していくのが目安です。抜糸が終わる頃にはほぼ通常通りの食生活に戻れる方が多いですが、個人差があるため違和感がなくなるまでは無理をしないことが大切です。
抜歯後は多かれ少なかれ腫れや痛みが出ます。腫れのピークは術後2〜3日目、痛みのピークは1〜2日目とされます。ここで無理をせず、適切に対処することが回復を早めるポイントです。
もし強い痛みが長引く、膿が出る、発熱を伴うといった症状があれば、ドライソケットや感染症の可能性があるため、早めに歯科医院を受診してください。
親知らずの抜歯は生活にも影響します。特に仕事や学校を休むべきかどうか、復帰の目安を気にする方は多いでしょう。
通常のケースでは翌日から軽作業や授業には復帰可能な方が多いです。ただし、下顎の埋伏智歯のように難易度が高い抜歯を行った場合は、腫れや痛みが強く出るため2〜3日程度の安静が望ましいこともあります。
デスクワークや軽い活動は1日休めば可能ですが、営業や接客など人前に立つ仕事では顔の腫れが気になる場合があります。大切なイベントや試験、プレゼンの直前は避け、スケジュールに余裕を持って抜歯を計画しましょう。
親知らず抜歯後の生活では、血餅を守ること、食事の工夫、適切な痛みと腫れの管理が大切です。社会生活への復帰は抜歯の難易度や体調によって異なりますが、通常は数日で日常生活に戻れます。無理をせず、医師の指示に従いながら快適に回復していきましょう。